手に取るな

やはり野に置け蓮華草

前向きな決断

 

推しが卒業発表をした。

 

 

 

 

 

 

よく聞く言葉だ。

でもまさか自分がこの言葉を使う日が来るだなんて思ってもみなかった。

 

私の推しは女性アイドルなんかじゃない。女性声優だ。アニソン歌手だ。12年活動を続けてきた、彼女の代名詞とも言えるアニソンユニット、fripSideのボーカルを卒業する事が突然発表された。突然。なんの前触れもなかった。

 

 

 

けど、彼女も若くないし、fripSideの楽曲特有の高音がきつそうだなと感じる時もあったし、いつか終わりを迎える日が来るんじゃないかって思った事はあった。多分fripSideを好きな人なら1度くらいは。けど、絶対と言いきれるくらいに今ではないと思っていた。今年は新型コロナウィルスの影響で思ったような活動ができなかった。けど。来年はfripSide結成20周年だ。毎回毎回盛大にお祝いしてくださるfripSideの事だから楽しい事を色々用意してるんだろう、今日のニコ生はそれに向けたフルアルバムとツアーのお知らせだろう。誰もがそう思っていた。疑う余地がなかった。それなのに。

 

 

satさんのお誕生日がお祝いされて、最初に大切なお知らせがあるって。そこからはもう覚えていない。fripSideを卒業する事の報告、それが残り半年もないこと。話し合って決めた事であること。なんかそういうことを言っていた気がする。耐えられなくてニコ生を閉じてしまった。だだっ子のように、「やだ、やだ、やだ、やだ、」と、ガタガタ震えながら泣いていた。Twitterを開くと同じような反応の人が山ほどいた。それもそうだ。嬉しいお知らせがあると思ってワクワクしながら眺めていたのにいきなり鉄パイプで殴られたのだから。泣く人、仕事を休む人、憔悴する人。そんな私たちとは対称的に当事者はケロッとしていた。まるで、「ハッピーハロウィ〜〜〜〜ン!!!!!!!」と言ったかのようなテンションだった。しんみりさせない為の配慮だったのかもしれないけどずっとヘラヘラ笑ってた。理由なんて、説明なんて、何も無かった。どうして急にこんな事になったのか。何も分からないまま、本人たちだけ勝手に解決したまま、私たちファンは置いてけぼりにされた。彼女はしきりに「fripSideらしい」を強調していたけど、その言葉を盾に逃げているようにしか見えなかった。あんまりファンのことを見ているような感じがしなかった。こんな事言いたくないけど、自分でも驚いたけど、そんな態度をとっていた彼女を見たあの瞬間思わず、心の底から、大っ嫌い。と思ってしまった。そんな感情を抱く日が来るなんて思ってもみなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

fripSideに出会ったのは、中学生の時だった。気になっていた声優さんがアニソンユニットのボーカルをしているらしい。どんな曲を歌ってるんだろう。

そうやって初めて聴いたfripSideの楽曲は雷が落ちたかのように衝撃的だった。麻薬のような中毒性があった。無我夢中になって他の曲も調べ続けた。毎日毎日聴いていた。高校生になってからライブにも行った。fripSideの曲なら全曲わかるほど真剣に応援していた。コールも曲ごとのキンブレの色も身体に染みついていた。ライブやフェスの時に言ってくれる「また一緒に遊んでください!fripSideでした!」という言葉を何より信じていたしあの瞬間が大好きだった。

 

 

もう見られなくなるんだなあ。

 

 

 

 

 

 

こんな終わり方だなんて思わなかったなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな対応をする人だったなんて思わなかったなあ。

 

 

 

 

 

「僕が曲を作って、なんちゃんが歌えばそれがfripSide。」

決まってしまったことはしょうがないし受け入れなければいけないことも頭の中ではわかっているけど、もうこの言葉が聞けないと思うと寂しくて寂しくて仕方がない。ここまで断言できるほど自信と説得力のあるfripSide2期の二人が大好きだった。

長い間お疲れさまでした。なんてまだ言えない。

置いていかないでほしい。私たちが飲み込めるように、大好きだったfripSideの門出を、笑顔で手を振ってお祝いできるように説明してほしい。説明ができないなら説明はできないんだけどって言ってほしい。少しくらいは私たちのことも見てほしい。ここにきてfripSideらしい、をはき違えないでほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この先も私は、南條愛乃を好きでいられるんだろうか。

って、思ってしまった自分が怖い。